パ・リーグ新人王争いは楽天・塩見とロッテ・伊志嶺がリード
斎藤のいるパ・リーグは優れた新人が多い。
投手では楽天の塩見貴洋が斎藤-田中がぶつかった時点で7勝をマークしていた。プロ野球にはあまりなじみのない八戸大出身の左腕でドラフト1位。西武のクローザーとして台頭してきた牧田和久は日本通運からドラフト2位で入団した右の下手投げ。打者ではロッテのドラフト1位、東海大出身の伊志嶺翔大外野手が活躍中。9月に入っても打撃10傑に入っている。
斎藤には人気があり、プロ野球を盛り上げた功績がある。総合力での評価がどうされるか。塩見との差を早く縮めることが大事である。
塩見にとって力強いのは監督が新人王輩出の名人、星野仙一であるということだ。投手起用には定評があり、勝ちゲームを作る読みもある。そして中日監督時代に与田剛(現NHK解説者)森田幸一、川上憲伸らの投手新人王(打者では立浪和義)を出している実績を持つ。今年も何が何でも塩見にタイトルを取らせにいくはずだ。田中の勝利は塩見を援護したことにもなっている。
斎藤は先発ローテーションに入っているから、残り試合から予測すると、多くて5試合ぐらいの登板か。全部勝てば10勝に届くが、それはかなり厳しい。それらを思うと、田中との投げ合いで敗れたことは大変な意味を持つものだった。
現時点での取材記者の予想は「おそらく塩見と伊志嶺の争いになるだろう」。西武が猛追に成功して3位に食い込むことになれば、当然抑えとして数字を残す牧田が一気に浮上してくる。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)