吉田所長は「まだ頑張れる」
さらに、9月7日に読売新聞が枝野幸男前官房長官に行ったインタビューによると、当初、清水氏は海江田氏に撤退を申し出たが、海江田氏は拒否。枝野氏に電話をしてきたという。枝野氏が関係機関にコンタクトしたところ、福島第1原発の吉田昌郎所長は「まだ頑張れる」と、撤退する必要はないとの見解を示したという。
東電トップと現場責任者の見解が食い違っていた形で、これが、清水氏が官邸で菅氏に対してあいまいな受け答えしかできなかった背景にあるとみられる。
菅氏も、前出の週刊朝日のインタビューで
「中の情報をいちばん持っているはずの東電も、現場から私に伝わるまで伝言ゲームのように人が介在し、結局誰が判断しているのか、誰が責任者なのか、聞いてもわからない。すべてが匿名性の中で行われていました。吉田(昌郎)所長と会って、『やっと匿名で語らない人間と話ができた』という思いでした」
と、「伝言ゲーム」ぶりを振り返っている。
なお、清水氏は、4月13日の会見で、
「直接作業に関わらない人間とか、そういう人たちは退避するという判断は当然あったが、全員が退避するという判断は持ち合わせていない」
と、全面撤退の申し出を否定している。また、清水氏は菅首相が東電に乗り込んだ翌日の3月16日から数日間、体調を崩して対策本部を離れているが、
「菅首相が(3月15日早朝に)東電本社に乗り込んだことは体調に影響はあったのか」
との質問には
「影響ありません」
と、否定している。