韓国では08年10月から「電子足輪制度」
では、実際にGPS端末の着用を義務づけている国の状況はどうなのか。韓国では08年10月から「電子足輪制度」を施行。13歳未満の子どもに対して性犯罪を行った人は、裁判所の命令で最長5年(後に最長30年に延長)、片方の足首に足輪の装着が義務づけられる。足輪はウレタン製で重さは80グラム。完全防水だ。
出所者の位置は、法務省の中央管制センターが24時間体制で監視・記録し(1)被害者に接近していないか(2)決められた時間以外に外出していないか、などについても監視する。
施行からの2年間で800人以上電子足輪を装着したが、性犯罪での再犯は1人。再犯はある程度抑止されている様子だ。
だが、世論の高まりを受け、さらに厳罰化が進んでいる。10年7月からは、裁判所から身元公開命令を受けた人については、写真や身体情報などの情報をウェブサイトで公開しているし、11年7月には、子どもに対する性犯罪者のうち、性的衝動や欲求を抑えられない者に対して、性欲を抑制する薬物治療や心理療法を命じる法律が施行されている。
この法律は、いわば「化学的去勢」とも言われるもので、当初08年に法案が提出された際は、「人権侵害」などと異論が続出。成立の見通しが立たない状態が続いていた。だが、10年6月、小学校2年生の女の子が小学校から拉致されて性的暴行を受ける事件が発生し、厳罰化を求める声が急増。これに応える形で、国会が異例のスピードで法案を可決したという経緯がある。