6本のレギュラー番組を抱え、「視聴率男」と褒めたたえられていた島田紳助さん。それは大いなる幻想、虚像だったのではないかという疑問がでている。「代役」になっても番組の視聴率が、概ね好調なのだ。微減した番組もあるが、少なくとも「大ダメージ」はなさそうだ。
紳助さんは、暴力団との交際を理由に、2011年8月23日に芸能界引退を発表した。
「開運!なんでも鑑定団」も変化なし
紳助さん時代の平均より4ポイントもアップして視聴率19.4%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を獲得したのは、9月4日放送の「行列のできる法律相談所」(日本テレビ系)だ。
司会は準レギュラーでお笑いタレントの東野幸治さんが務めた。東野さんは、紳助さん不在をネタにしながら、にぎやかに番組を進行させた。次週の司会は、やはり同番組に頻繁に出演している、お笑いグループ「雨上がり決死隊」の宮迫博之さんだ。
「開運!なんでも鑑定団」(テレビ東京系)も紳助さん時代の直近4週平均より視聴率が上がった。8月30日の放送は2ポイント高い13.2%だった。9月6日放送分は11.3%とほぼ平均通りに戻ったが、それでも0.1ポイントだけ高かった。代役は、2週ともお笑いタレントの今田耕司さんだ。
女装タレント、マツコ・デラックスさんが「紳助さん席」に座った9月5日放送の「人生が変わる1分間の深イイ話」(日本テレビ系)は12.4%。紳助さん出演最終週の8月22日の13.6%と比べると微減にとどまり、急降下は避けられたようだ。
インターネットのツイッターで、「代役司会番組」の反応をみてみると、賛否が分かれているようだ。
「(行列の~は)紳助いなくても全然良かったと思うな~」「紳助いないほうがいい番組になってる気がするんだが」
といったものが並ぶ一方で、
「紳助がいないと駄目だな」「紳助さんてしゃべりが上手かったんだなぁって改めて思った」
と、不在を惜しむ声も少なからずあった。
紳助いなくなっても「テレビ界は困りません」
テレビに詳しいライターの今井舞さんは、「行列の~」などで視聴率が上がったのは、「紳助さんがいなくなった後、番組がどんな風になるのか」とやじうま的にチャンネルを合わせた人が多かったため、とみている。一時的な現象というわけだ。
鑑定対象の「お宝」が中心で、紳助さん色が薄かった「鑑定団」は別として、ほかの番組はそう遠くない時期になくなるのでは、と今井さんは分析している。良い意味でも悪い意味でも紳助さんの話術や「いじり」があってこその番組構成だったので、代役ではうまく回りそうにない。
とはいえ、そもそも紳助さん番組はマンネリ化が進んでいた。紳助さんの姿勢にも「やっつけ仕事」ぶりがにじむようになっていた。引退がなかったとしても、局側は番組終了のタイミングを見計らっていたのではないか。紳助さんに頼らない新しい番組が早晩生まれる。
「結局、(紳助さんが)いなくなってもテレビ界は困りません」
今井さんはこう断言した。さらに、「個人的にはうれしい」のだそうだ。力のない中途半端な芸能人をいじる紳助さんの芸を見なくて済むようになるから、というのが理由だそうだ。
ツイッターの意見の中には、「紳助が消えたら『行列』も『深イイ』も見る気がしてきた」という声もあった。「代役司会番組」の視聴率は今後、どんな推移をみせるだろうか。