小宮山洋子・厚生労働相が「おやじ狩り」宣言か――野田佳彦首相が財務相時代に「おやじ狩りだ」と反発したたばこ税増税について、小宮山厚労相が前向きな姿勢を示した。
財務省などの反発を受け、小宮山氏は多少トーンダウンしたものの、「旗」を完全に下ろしたわけではなく、閣内不一致の火種は残ったままだ。
「財務省VS厚労省」で綱引き?
「最低でも700円ぐらいまで(段階的に)引き上げるべき」。小宮山厚労相は、2011年9月5日の会見でこう持論を展開した。1箱700円(現在は、例えばマイルドセブン410円)程度までなら、値上げにより利用者が減っても、税収は変わらない試算もあると指摘した上で、たばこ税増税について「(財源論ではなく)健康を守るため。財務省が所管するのはおかしい」と、「縄張り争い」にまで踏み込んだ。
当然、黙っていられないのは財務省側だ。安住淳・財務相は同じ5日、「たばこ税は財務省の所管だ」と不快感を示した。さらに6日の会見でも「小宮山氏の個人的見解として承る」「たばこだけ抜き出して(増税を)議論することは、バランスに欠けている」と否定的な姿勢を強調した。
藤村修・官房長官も6日、「(小宮山氏が)個人的な思いを述べられたと思う」と火消しに回っている。そもそも、たばこ税増税論は、野田首相が財務相だった7月中旬、討論会の中で、酒税増税論も含め、「おやじ狩りみたいなもので、こんなことやっていいのかという議論もある」と慎重姿勢を示していた。
ちなみに、野田首相と藤村長官は愛煙家で、小宮山厚労相は超党派の「禁煙推進議員連盟」の元事務局長だ。
安住財務相らの反発や「閣内不一致」の指摘を受け、小宮山厚労相は6日、「(たばこ税は)財務省の所管であり、政府税制調査会で議論する」と述べ、トーンダウンした。とりあえず財務省との正面衝突は避けた形だが、完全屈服するつもりもないようで、「個人的というより厚労省を代表して言った」と釘を刺した。安住財務相らの「個人的見解」批判に反論した形だ。