問診から身長、体重などのデータ、医療機器を使った検査結果までをすばやく統合する「スピード健診システム」が開発され、2011年8月25日、大阪で開かれた日本人間ドック学会で発表、披露された。健診データは自動入力されため、健診後すぐに受診者は説明を受けられ、データや画像もその場で見ることができる。
国の特定健診や生活習慣病予防健診、職場健診などにそれぞれ対応した様式の印刷もでき、大幅な省力効果も期待できる。自由に検査項目も増やせるので、福島県民に計画されている放射線被曝健診などにも利用できそうだ。
自動健診システム「健診オートボーイ」を開発したのは長崎県佐世保市の福田外科病院 (福田俊郎院長) グループ。データはバーコード付きカードで健診サーバーに自動入力される。
数値をチェックして病名も推定
自動音声での問診には、タッチパネルで「はい」「いいえ」などの答えを選んでデータを入力。身長・体重、腹囲、血圧、視力、聴力などは自動測定式になっている。血液や尿は看護師さんが受け取って自動分析器にかける。最近の医療機器の大半にはデータ出力用コネクターが付いており、開発したシステムと電子的に接続すれば、心電図や胸部X線、マンモグラフィー、胃内視鏡などの画像も自動入力できる。
すべての検査が終了すると、待たせずに結果が印刷できる。基準値を外れた項目は自動的にチェックが付き、可能性のある病名などが出る。医師はそれを参考に、患者さんに画像も見せながら説明できるし、必要な場合は手動でコメントも打ち込んで手渡せる。また、目的の健診に合わせた報告・請求様式で印刷できる。健診車搭載も可能なので、遠隔地での健診もその場で結果を渡せるようになる。
福田外科病院など長崎県、佐賀県の約10病院で試験的に運用を始めている。コストは健診サーバーを含めて数百万円という。
(医療ジャーナリスト・田辺功)