野田佳彦・新首相が散髪に1000円カットを利用していると話題になっている。「安くて速い」と気に入り、今では月1回のペースで足繁く通っているそうだ。ワイドショーでもそのカット専門店「QBハウス 虎ノ門店」が紹介された。
SP付き車で来店、「1センチ程度切って」
10分1000円の「QBハウス」は、洗髪、顔そりを行わない「散髪だけ」のシンプルなサービスが特長だ。野田氏は財務相だった2月下旬ごろ、秘書からの紹介をきっかけに「行くだけ行ってみよう」と足を運んだという。その後もSP付きの公用車で何度も来店しているが、4席しかない小さな店舗なので、時には待合ベンチで数分待つこともある。
野田氏を担当することの多い店長・高島文男さんは、「毎回『1センチ程度切って』と注文されますね」と話す。「切っている間、特に雑談はしないですが、『政治家のように振る舞う』こともなくテレビで見るままの雰囲気です」。
ビジネス街に位置する「虎ノ門店」は、隙間時間を利用した30~50代の男性客が多いが、多忙をきわめる野田氏も他の客と同じように時間を見つけ、サッパリとしていくようだ。
この「1000円カット」のニュースはインターネット上でも盛り上がり、「スバラシイ」「オレとの意外な接点…」「おれの方が先にQBには目をつけてた」といった声があがった。
「庶民派アピール」との声
しかし、一方では「どうせ庶民派アピールだろ」「またいつもの庶民派か」という声も少なくない。こうした意見の背景には、「庶民派」で登場したここ数年の首相らに、ことごとく「裏切られた」過去がある。例えば、立ち飲み屋も訪れるといわれた麻生太郎・前首相は「ホテルのバーは安い」と発言、スーパーの袋をぶらさげていた菅直人・前首相は、その後の高級料亭通いが話題になった。
演説で自らを「ドジョウ」に例えて好評を博した野田氏。ワイドショーのインタビューでは弟の野田剛彦さんが「山田うどんや吉野家など、ああいうところが好きですね」と話し、地元にあるイタリアンチェーンのサイゼリヤにもよく訪れたと「素顔」を語った。
散髪に関しても「以前は実家の近くにあった理髪店に通っていたと聞いています」と、船橋事務所の女性が話す。「小学生から親しんだお店だったのですが、忙しくなって時間的・距離的に通うことが難しくなったので、職場の近くでお店を探していたようです」と、霞ヶ関から程近い虎ノ門の1000円カットを選んだ理由を説明した。
首相となった今後も「QBハウス」への来店意思を示しているという野田氏だが、「庶民派」として登場した以上は今後の振る舞いに世間の目が集まっていることを留意する必要があるのかもしれない。