「凍結と廃止は違う」の反論も
ところで、財務省がいう「オープンな場」とは、どんな会議だったのだろうか。少なくとも「事業仕分け」ほどは注目はされていなかったようで、「記憶にない」という人も少なくなさそうだ。
財務省によると、その会議は「PRE(国有財産全体の最適化)戦略検討会」。大学教授らを招き、「原則公開」でヒアリングを実施した。会議予定は事前に公表されていた。2010年9月から11月にかけ4回開いており、12月初旬にはとりまとめを公表した。このとりまとめを受けて、朝霞を含む2宿舎事業の凍結解除が決定された。中止が決まった宿舎事業もひとつある。
同検討会の参加者のひとり、山梨大学の西久保浩二教授(人的資源管理論)にきいてみた。当時、個別の公務員住宅事業についてではなく、全体的な官舎のあり方を話し合った。基本的には、「国家公務員の高い質を維持するため」に必要な処遇だという意見が多く、西久保教授も同様の意見を述べたという。
参加者の中には公務員宿舎不要論を指摘した人もいたが、強硬な建設反対ではなかったそうだ。
朝霞の事業が再開され、事業仕分けでは「凍結」だったのにおかしい、との批判が出ていることについては、そもそも「廃止」の判断ではなかったことを踏まえるべきだとの考えを示した。
確かに、事業仕分けで廃止判定を受けた案件は少なくない。仕分けの結果は「凍結して、議論を深めるべきだ」というものであり、実際に議論したというわけだ。前述のように、結局は廃止された宿舎事業もある。
もっとも、西久保教授は「個別事業については、過剰な設備にならないか、などを監視していく必要がある」とも指摘している。