カジュアルウェアの「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは2011年9月から、山口市と東京・六本木の本部の社員を対象に始業時間を現行の朝9時から2時間早めて、7時からにする。
終業時間を16時にして仕事を早く切り上げることで、就業後に英語やビジネスに役立つ知識を身につけてもらうのが狙いだ。
住まいが遠い人は対象外。
ファーストリテイリングによると、7時出社の社員は「必ずしも全員ではありません」という。たとえば広報部員は対象外だし、住まいが遠い人も対象から外れている。「全社員が朝7時からでは、対外的な仕事をしている人などは仕事になりませんし、なにもがんじがらめにしているわけではありません。たんに定時が繰り上がっただけです」と説明する。
始業時間は7時だが、時間に出社できないからといって、その旨を書面で届け出たり、登録したりする手続きもなく、運用はかなり緩やかなようだ。
それにしても、朝7時に始業の会社はあまり聞かない。銀行などの金融機関でも、早くてせいぜい8時。人事・労務を調査・研究する労務行政研究所の調べでは、東日本大震災後に節電対策として本社・本店の「始業・終業時間の繰り上げ」を実施した会社は195社のうち52%あったが、どこも30分~1時間前倒しする程度だった。
同研究所「労政時報」編集部の荻野俊成編集長は、「地方の工場など、クルマで通勤する人が多い職場では8時始業もあります。しかし、電車やバスを使って1時間ほどかけて通勤する人が多い会社では7時は間にあわない社員も出てくるでしょう」と話す。
「フレックスタイム制を導入している会社で、フレキシブルタイムを設定するケースでは、午前7時からという会社もありますが、始業時間が7時からというのはめずらしいです」と話している。