「小沢VS反小沢」の構図は続く
決戦投票での構図をみると、小沢グループが満足するほどの党内要職を野田氏が譲る可能性は低く、「代表選のしこりは残るはず」と指摘するのは、政治評論家の浅川博忠さんだ。
野田氏の代表任期は2012年9月まで。あと1年しかない。浅川さんは、よほど小沢氏が満足できる人事ポストが小沢グループに用意されない限り、「小沢氏陣営は来年9月の代表選での勝利を目指して早晩動き出すはずだ」とみている。
「『小沢VS反小沢』なんていう構図は、もうなくなった」と党最高顧問の渡部恒三氏は言うが、浅川さんは「単に希望を話しているだけ」と切り捨てる。「小沢VS反小沢」の構図は今後も続く、というわけだ。
小沢氏にとっては、「小沢VS反小沢」の構図で行われた代表選は今回で3連敗だ。前回2010年9月の代表選では、小沢氏本人が菅氏と直接対決して敗れた。今回は、小沢氏は党員資格停止処分中で立候補する権利がないこともあり、鳩山氏とともに海江田氏を担いだが勝てなかった。隠然たる勢力を持つとされながらも「闇将軍」にはなり切れていない形だ。
「闇将軍」とは、故田中角栄・元首相が、ロッキード事件で逮捕された後も派閥の力を通じて首相選びなどの局面で大きな影響力を行使したことから付けられた称号だ。小沢元代表は自民党時代、旧田中派に属し、角栄氏から最も薫陶を受けた「弟子」とも称されている。
新代表となった野田氏は党内人事について、「トータルで党を挙げた態勢を作っていきたい」との考えを示した。挙党一致の姿勢を示したものだが、「小沢闇将軍」を許容するような人事にまで踏み込む可能性は低そうだ。