納得するまで就職活動やめない内々定者
採用予定者の拘束は昨年以前も実施されているが、特に今年が目立っているのは、震災により一部の企業が採用時期を変更したためだと新田氏は説明する。例年であれば4月には、大手企業の選考は終了している。ところが今年は、金融機関が例年通り4月に内々定を出した半面、メーカーや商社の大手が6月になっても採用を続けた。そのため金融機関は、「大手メーカーなどに逃げられないように」と、学生に拘束をかけるケースが増えたという。
毎コミの「就職活動モニター調査・6月の活動状況」によると、内々定保有者のうち2割が就職活動を継続しているが、そのうち半数以上が「もう少し自分に合った企業があるのでは」との理由だった。納得するまで活動をやめようとしない学生に対して、優秀な人材を確保したい企業がストップをかけたかったのだろう。
1人で多数の内々定を勝ち取り、拘束される学生が出る一方で、就職先が一向に決まらず苦戦が続く人も多い。新田氏は学生に対して、「就職する先は1社しかないのだから、どこにするか絞った段階で、ほかの会社には早目に辞退の意思を示してほしい」と考える。企業側も、現状の早すぎる内々定の時期を改め、就職協定の順守が望ましいとするが、実際には「抜け駆け」する企業が後を絶たず、根本的な解決は容易でない。