火力の炊き増しで対応できる
中部電力はじめ、電力会社は「電力の安定供給のためには予備率が8~10%必要」としている。確かにそれを当てはめれば8月第2、3週、9月第1週などを除き、中部電力は安定供給の目標を達成していないことになる。電力会社は「最低限必要な予備率は3%」としているが、今夏の場合、東北電力でピーク時に3%を大幅に切っても、停電などの支障がなかった。
中部電力が浜岡原発の全機が停止したままでも、電力の供給に余力があるのはなぜか。それは中部電力が東京電力や関西電力に比べ、発電設備(発電所)に占める原発の割合が低く、火力発電の割合が高いからだ。
電気事業連合会によると、発電設備に占める原発の割合は、中部電力が10.7%で、東京電力の26.8%、関西電力の28.4%と比べて低い。これに対して火力発電の割合は中部電力が73.2%で、東京電力の59.2%、関西電力の47.6%に比べて高い。
つまり、中部電力の原発依存度は元々低く、火力発電の割合が高いため、原発が全機停止した今回のような「有事」の場合でも、火力発電所を炊き増せば十分に対応できるということだ。少なくとも中部電力はこのまま浜岡原発が全機停止したままでも、年間を通して供給力に余力があるのではないか。