東日本大震災の復興財源などの必要額が13兆円規模に膨らむ見通しだ。ポスト菅の民主党時期代表戦選は増税が大きな争点になる。
もうひとつの財源確保策である政府保有資産の処分については、JT、NTT、東京メトロなど各論で思惑が入り乱れている。
増税は9月中に具体策まとめる
2011~15年の集中復興期間に13兆円が必要とされ、これに基礎年金の国庫負担の不足分(第1次補正予算で「流用」)2.5兆円と、B型肝炎訴訟の和解金0.7兆円も復興費用に加えることになっていて、必要額は計16.2兆円。
これに対して、子ども手当の見直しなどの歳出削減効果は2兆~3兆円にとどまり、差し引きで最大13兆円が必要。これを、一般の国債と別勘定の「復興国債」を発行して賄い、通常の国債とは別枠で、増税などで返済する――というのが復興財源を巡る大まかな枠組みだ。
財源は、「埋蔵金がほぼ底をついている」(財務省筋)中で、税金と政府保有資産売却に頼るしかない。
増税については、政府税制調査会が議論を始めており、政府は2011年9月中に具体策をまとめ、臨時国会に第3次補正予算案とともに関連法案を提出したい考えだ。
所得税・法人税の「定率増税」が軸になる。所得税は税額に10%上乗せを5年、または5%を10年実施した場合、計7兆円になる。法人税では実効税率5%引き下げ分を実質的に復興財源に回せば5年で4兆円近くになる計算だ。このほか、酒税やたばこ税も俎上に上るが、業界との調整などの時間が足りず、当面は見送りになりそう。一方、消費税は、「社会保障と税の一体改革」で、福祉目的税として増税の方向が打ち出されたことから、政府としては復興財源に入れない考えだ。
ただし、民主党内に反対論が根強く、民主党の次期代表選の結果に大きく左右されそうだ。