高橋洋一の民主党ウォッチ
財務省が仕掛ける 民主新代表への「増税罠」

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

「スケジュールの罠」と財務省「増税シフト」

   それで国民もいいはずだが、財務省は黙っていない。財務省は今回の定期人事異動で、完全に「増税シフト」をしいた。

   内閣官房(官邸)に出向させていた佐藤慎一氏を呼び戻し省内司令塔の総務審議官とした。佐藤氏は「税のエース」的存在だ。国会対策が中心で財務省トップエリートへの登竜門である文書課長であった星野次彦氏を主税局審議官とし、公共担当主計官であった井上裕之氏を異例の主税局税制一課長(基幹税を担当)にした。

   そこで、財務省は新首相に「スケジュールの罠」を仕掛けてくるだろう。それは2年前の政権交代の時と同じだ。ちょうど今と同じ時期だ。政権交代で浮かれる民主党に、早く予算編成をしないと年内編成ができず、新政権にマイナスになるといい、鳩山首相に年内編成方針をいわせた。概算要求は自民党時代なので、要求差し替えなどから、別に越年編成でもよかった。それで何の問題もなかった。しかし、民主党はきついスケジュールにしてしまい、あとは財務省主導でやられっぱなしだった。

   今回も財務省は「スケジュールの罠」を仕掛け、そこに新首相が嵌(はま)ったあとにじっくりと復興増税を吹き込むだろう。

   新首相は、閣僚人事のみならず、官邸の政治任用官僚人事をしっかりやらないと、財務省の術中にはまり込んでしまうだろう。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。


1 2
姉妹サイト