新興国、外貨準備高の多様化の一環
では、いったい誰が短期国債を買っているか――。その詳細は不明だが、日本の短期国債が買われている背景に、海外の中央銀行が外貨準備高の多様化を進めていて、円資産を増やしているともいわれる。
前出の枝川氏は、「外貨準備高が多い中国や台湾などは日本国債を重視しています」という。中国は世界第1位の米国債の保有国だ。今なお米国債の格下げ懸念がくすぶり、リスクを分散しておきたいと考えるのはごく自然な流れだ。
財務省も海外勢で短期国債を買っているのは「アジアの新興国」とみているし、中国やインドネシアが買っているとの見方もある。
8月24日、米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスが日本国債を「Aa2」から「Aa3」に1段階格下げし、21段階の上から4番目にランクした。これは中国と同じ水準だ。
しかし、枝川氏は「ダブルAの水準を確保しているうちは、影響もあまりないでしょう」とみており、海外投資家の短期国債買いはしばらく続きそうだ。