町長は経済的メリットを強調
だが、実際に誘致が行われるまでには、まだまだ紆余曲折がありそうだ。地元紙の八重山毎日新聞によると、7月12日には、島内で初めて住民説明会が開かれている。
誘致推進派の外間町長は、
「自衛隊が常駐する地域では、隊員が地域に積極的に参加しており、少なくとも地域に混乱を招く組織ではないと実感した。町に経済的な効果もある」
と経済的メリットを強調、理解を求めた。だが、100人いた町民からは、
「宮古のレーダーでこれまで問題なかったのにどうして今、与那国なのか」
「自衛隊を与那国に誘致した場合、有事の際は住民が戦闘に巻き込まれる」
「誘致することで島が分断される」
「直前の防災放送だけでは知らない人もたくさんいる」
と反対論が続出。
「誘致は住民投票で決めるべき」
との声も出たが、外間町長は、「誘致問題が争点だった町長選や町議選で、すでに民意は示された」という立場で、住民投票の実施には否定的。出口が見えない状況だ。
さらに、2紙ある県紙の社説も、
「自衛隊が駐屯することになれば、中国だけでなく台湾にも無用な警戒心を与えることになるのではないか。(略)一定数の自衛隊と家族が駐屯すれば選挙など町政の重要事案のキャスチングボートを握りかねない。自衛隊の意向が反映される島になる恐れがあることを指摘したい」(8月22日、沖縄タイムス)
「拙速に物事を進めると将来に禍根を残すという謙虚な思慮が見当たらない。まして、駐屯の是非を民意に委ねようという姿勢はみじんもない。むしろ、造ってしまえばもう撤去はできまいという計算すら見え隠れする」(8月22日、琉球新報)
と警戒心をあらわにしており、現時点では地元世論の理解を得るのは簡単ではない情勢だ。