来年4月新発足の原子力安全庁 なれ合い排除と「独立確保」、できるか

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   政府が2011年8月15日、原子力規制行政の独立・強化のための「組織改革基本方針」を 閣議決定した。経済産業省の原子力安全・保安院と内閣府の原子力安全委員会、文部科学省の放射線モニタリング司令塔機能を統合した「原子力安全庁(仮称)」を環境省の外局として設置するのが柱だ。

   だが、菅直人内閣の退陣が決まっている中での駆け込み決定で、「規制の在り方の根本に立ち返った議論が足りない」(民主党議員)のは明らか。野党の出方も読めず、大連立になるかなど次期政権の枠組みともからみ、菅内閣のもくろみ通り「2012年4月発足」となる保証はない。

一定の役職以上の幹部職員は元の省庁に戻さない

   政府は8月中にも準備室を設置し、関連法案を年明けの通常国会に提出。来年4月の発足を目指す。さらに、その後は「第2段階」として、年末までに組織強化策を検討。新たに制定するエネルギー基本計画や事故調査・検証委員会の報告などを踏まえ、組 織を改編する――という。

   安全庁の設置の最大の狙いは、は原子力の「規制と利用」の分離。原発を推進してきた経済産業省(資源・エネルギー庁)から、規 制を担当する保安院を切り離すということだ。具体的には「事故発生時の初動対応その他の危機管理」を重要な役割と位置づけ、危機管理対応 の専門官を新に置くほか、環境相の助言・諮問機関として「原子力安全審議会(仮称)」も設け、原子力規制行政の中立性を保つ方針だ。

   人事の独立性にもポイントで、安全庁長官は官僚出身者だけでなく、民間有識者も含め幅広く人選。経産省内でエネルギー庁と保安院との間で人事異動が行われ、「なれ合い」と批判されたことから、安全庁では、他府省から来た一定の役職以上の幹部職員を元の省庁に戻さない「ノーリターンルール」を徹底させる。

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