人気漫画が国会図書館にない 「文化財」伝えられない危機も

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ポルノ漫画も立派な文化財

   こうした状況に、研究者は警鐘を鳴らす。筑波大学大学院図書館情報メディア研究科院生の木川田朱美さんは2007年~2009年にかけ、いわゆる「エロ漫画」「ポルノ漫画」の納本率について調査したが、実に8割もの作品が国会図書館に納められていなかったという。ポルノ作品も現代日本が生んだ立派な文化財だと話す木川田さんは、

「くだらないと思う人もいるかも知れませんが、出版部数の少ない作品は国会図書館に入っていなければ、未来の研究者や読者の手に届かなくなり、その存在自体がなかったことになってしまいます」

と指摘する。

   国会図書館でも納本漏れを把握し次第、督促などを行っているというが、「ご指摘のとおり、全ての本についてご納本いただけているわけではないというのが実情です」と話す。また出版情報の把握も「完全」というわけにはいかないのが実情のようだ。

   納本漏れが多発する現状には、「納本制度の趣旨である、文化財の蓄積と利用が十全に果たせない恐れがあると考えております」と危機感を募らせており、今後も取次会社などと「納本漏れ防止策」について協議するほか、「納本制度の周知広報」に努めていくという。

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