東北や関東などの浄水場や下水処理場で発生した放射性物質を含む汚泥の処理が、ほとんど進んでいない。
14都県の浄水場で発生した汚泥だけで10万トンを超え、下水処理場発生分を含めると115万トン近くに達すると見られるが、7月28日の厚生労働省のまとめでは、浄水場の汚泥の約9割(9万1900トン)が再利用や埋め立て処分をされないまま保管されている。
ひたすら溜め込んで保管するだけ
政府は6月16日、汚泥処分にあたっての基準を示した。汚泥や焼却灰1キロあたりの放射性セシウムが10万ベクレルを超えた場合は、放射線を遮へいできる施設で保管するとし、8000ベクレル超10万ベクレル以下は「(汚染物質が土壌に漏出しない)管理型処分場に仮置きできる」、8000ベクレル以下は、居住地や農地に使わなければ「埋め立て処分できる」、200ベクレル以下は「肥料として再利用可」、100ベクレル以下は「セメントなどへの再利用可」などとしている。
だが、実際には、各自治体は「ひたすらため込んで保管するだけ」(自治体関係者)。厚労省によると、浄水場の汚泥は従来ほとんどがセメント原料などに再利用されていたが、今回の調査では、放射性セシウム濃度を測定済みの4万9300トンのうち、1キロ当たり100ベクレル以下にとどまったのは1万3700トンで、実際に再利用されたのは4400トン。
調査対象14都県のうち東京都がほぼ全量を埋め立てたが、13県では大半の汚泥が処理されていない。ある自治体は「管理型処分場を確保できるのは、東京湾に埋め立て処分場を持つ東京都など一部に限られる」と指摘する。