需要ピークは夏休み明け23日か 東電、関電など電力各社が厳戒

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   全国的な原発の停止で「電力不足」が騒がれる今夏、猛暑で電力が逼迫(ひっぱく)するXデーは来るのか。電力業界では大手製造業の夏休みが 終わり、「工場が一斉に稼働を始める2011年8月23日か24日に今夏の需要のピークが来るのではないか」との見方が広がり、警戒感を強めている。

   電力会社は電力需要に対する供給力の余力を供給予備率として表示しており、「安定供給には最低3%が必要」としている。平時は8~10%の予備率が適切とされる。

東電では「これなら節電しなくても」との疑問

   予想される最大需要(最大電力)を供給力で割った値が使用率で、「でんき予報」はこの値で示される。東京電力は使用率が90% 未満(予備率が10%超)の場合は「余裕」、90%以上95%未満は「厳しい」、95%以上は「大変厳しい」、予備率が3%となる使用率97%は 「電力が不足する可能性がある」として、政府が「電力需給逼迫警報」を出すことになっている。

   今夏は早くも、東北電力で8月5日、予備率が一時2.37%となり、危険水域に入った。東北地方は気温上昇と、直前の豪雨で水力発電所に流木が 入り込み、一部で水力発電ができなくなった影響で、供給力が低下したのが原因だった。

   猛暑となった10日は東京電力の最大電力が4903万キロワット(使用率89.7%)、中部電力が2520万キロワット(同89.2%)と、8 日から3日連続で今夏の記録を更新した。8日には東北電力で予備率が一時1.88%まで低下するなど全国で電力需給が逼迫したが、東電が東北電に 電力を融通するなどしたため、政府は電力需給逼迫警報を発令することもなく、停電は起きなかった。

   電力会社は緊急時に電力会社同士で余剰電力を融通し合う仕組みがあり、今回は東電が東北電に電力を融通した。だが、東電は2010年夏ピーク比で15% の節電を企業などに強制しており、「東電は節電を求めておきながら、電力が余っているのではないか。これなら節電しなくてもよいのではないか」との疑問がわくのも無理はない。この点について東電は「東北電への電力融通は東北地方の停電回避に向けた緊急的な措置であり、万が一、当社の電力需給が逼迫し、計画停電を実施するような場合は、東北電への融通を取りやめることも検討する」などと説明している。

猛暑の疲労が蓄積する23、24日にエアコン使用増える

   一方、関西電力は14日、出力40万キロワットの火力発電所のトラブルで供給力が低下した。関電は「週間でんき予報」で、1週間の予報をまとめ て発表しているが、17、18日の使用率を「95%以上97%以下」の「厳しい需給状況」と予想した。関電が週間でんき予報で、95%以上を予測するのは初めて。17、18日は盆明け後で一部の工場などの操業が再開し、気温も35度に上昇することが理由という。

   しかし、電力業界が最も需要が高まると警戒するのは、大多数の企業の夏休みが終わり、通常業務に復する22日の週だという。気温にもよるが、仮にこの週が猛暑となった場合、初日の22日よりも、猛暑の疲労が蓄積する23日、24日が一般家庭、オフィスともエアコン使用が増えるとみられ、 需要が高まる可能性がある。自動車メーカーが木、金曜日を休日としたため、25日以降は需要が下がるとみられる。果たして、予備率が大幅に3%を切るような電力需給の逼迫が起きるのか、気温の上昇、節電効果とともに行方が注目される。

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