「ぴーかんテレビ」放送事故 下請け処分で幕引きか?

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   東海テレビがローカル番組「ぴーかんテレビ」内で、スタッフがふざけて作成した不適切なテロップを放送してしまった問題。番組は打ち切りとなり、社長ら幹部8人が報酬カットなどの処分が決まった。

   なぜこのような事故が起こるのか、局内ではいつもこのような「悪ふざけ」が行われていたのか、といった疑問が絶えない中、「番組スタッフの構造に問題がある」と指摘する声がある。

訂正依頼あったものの制作者は「認識せず」

   東海テレビは2011年8月4日午前放送の「ぴーかんテレビ」で、岩手県産米のプレゼント当選者を発表する際に、誤って「怪しいお米」「汚染されたお米」「セシウムさん」などと書かれたリハーサル用の仮テロップを23秒間放送してしまい、大騒動となった。

   その後の謝罪放送によると、リハーサル用仮テロップはCG制作担当者が「ふざけた気持ち」で作成。仮テロップは本来であれば放送されるはずのものではないが、人為的な操作ミスで放送してしまったという。

   通常の流れとしては、まず番組のディレクターがテロップの原稿を作り、それをCG制作担当者に発注する。出来上がったテロップをディレクター、タイムキーパーらが確認して問題がなければ、プロデューサー、プログラムディレクターが最終チェックをして放送で使用されるはずという。

   放送前日に「不謹慎な内容」に気づいた番組の「タイムキーパー」がテロップ制作者の外部スタッフ(50代男性)に訂正を依頼したが、制作者はこれを訂正とは認識せずそのままにした。放送当日も、タイムキーパーは再度依頼したが訂正されなかった。

   タイムキーパーは、テロップが明らかに間違った内容と判断したため、制作者に訂正の依頼をしただけで、本来行われるはずのほかのスタッフの最終チェックを受けなかったという。

   不謹慎なテロップが23秒間も流れ続けたことについて東海テレビは、VTR放送の一方で、メインのスタッフが当選者を本来発表するコーナーのリハーサル作業に入っており、画面のチェックを怠っていたと説明。そのリハーサルにおいて、タイムキーパーが誤って本放送用のラインにテロップをコピーしてしまったのが誤放送の原因としている。

番組スタッフ構造の問題?

   元放送技術者でコラムニストの小寺信良さんはネットメディア「BLOGOS」で8月12日、タイムキーパーが放送前日にテロップを確認する流れの問題を指摘している。小寺さんは、タイムキーパーには伝統的にテレビ局員ではない女性が多いとしたうえで、

「50過ぎのベテランCG屋さんと女性TK(編集部注:タイムキーパー)さんでは、立場的にTKさんのほうが弱い。悪ふざけを注意するにも、かなり気を遣った言い回しをしないといけなかっただろうということが想像できる。それがゆえに、訂正の依頼だと受け取られなかった可能性は高い。きちんと演出サポートの役割を担うADを使わず、TKさんを便利に使っていた番組スタッフの構造に、まず問題がある」

と指摘する。また、技術者でないはずのタイムキーパーに、テロップの送出作業を行わせていたことも問題という。

「今回の事故は、もちろんふざけたテロップを本当に作った担当者のモラルが第一に問われる点は揺るぎないが、それ以外では現時点で検証番組(編集部注:謝罪放送)を見る限り、TKさんをいいように使っていたテレビ局側の人的リソース管理、外部スタッフの待遇の問題が浮上したと思う」

   東海テレビは後日、第3者委員会をまじえて検証番組を作り、放送する考え。小寺さんは、「今回の一件では、この点を指摘する人がいないまま、CG担当者とTKさんの責任として、契約を切って終わりにしてしまうのではないか」と懸念を示している。

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