JAL本体の低価格化路線は否定
従来、JALは、LCCについて
「研究を進めているところ」(大西賢社長)
「JALは高品質な会社であるべき」(稲盛和夫会長)
と、消極的ともとれる姿勢をとってきた。それを一転、参入に踏み切った形だ。この点について聞かれた大西社長は
「そういう質問が出るということは、我々のコミュニケーションの仕方がまずかったのかもしれない。JALそのものでLCCをやることについては今でも否定的。JALの今のリソースは最高のサービスを提供することに投入する」
「LCC事業に参画することで多様な価値を提供することを追求、実現していきたい」
とJAL本体が低価格化路線に走ることを否定。ジェットスターブランドとの差別化を強調した。
また、LCCで懸念されることのひとつが、LCCの需要が親会社の需要を減らしてしまう、いわゆる「共食い現象」だ。この点については、大西社長は
「既存の需要が一部(新会社に)移ることも否定できない」
とリスクを認めながらも、
「(JALとジェットスターで)どういう風に住み分けるかを話し合うなかで設立の合意に至った。カニバライゼーション(共食い)を極小化できると判断した」
と説明したが、この「住み分け」の具体的内容については、
「両社が積み重ねた内容であって、公開する代物ではない」
として明らかにしなかった。
日本国内のLCCをめぐっては、全日空が(ANA)がマレーシアのエアアジアと組んで「エアアジア・ジャパン」を設立、関西国際空港を拠点とする「ピーチ・アビエーション」(大阪府泉佐野市)にも出資するなど先行しており、競争が激化するのは必至だ。この点については、ジェットスターグループのブルース・ブキャナンCEOは
「これまでも(東南アジアやオーストラリアで)タイガー航空、バージンブルーといった競合がいたが、ジェットスターは非常に成功を収めている」
と自信を見せていた。