夢の30兆円ビジネス 「日本版GPS」、本格スタートできるか

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菅内閣迷走で仕切り役不在

   実際にどんな可能性があるのか。新カーナビとして、自動車にGPSアンテナだけでなくカメラを付けるモバイル・マッピング・システム(MMS)と呼ばれるシステムが研究されている。道路を走りながら連続撮影で3次元地図を作ることができ、カーナビの高度化が期待できる。自動車や列車の衝突防止、さらに信頼性の高い測位でヘリコプターの夜間運航も可能になる。このほか、農業分野で水や肥料を散布する農業機械の遠隔操作システムなどの開発が検討されている。三菱重工業は国産ジェットのMRJ(三菱リージョナルジェット)用に次世代航行システムの開発に取り組んでおり、受注合戦での差別化を図る。

   MMSは地殻が変動しても元の位置をすぐに特定できるので、震災の復興などに有効。また、政府は準天頂衛星2号機からは携帯電話の中継器を搭載し、今回の大震災のように、地上の基地局が被害を受けても、災害用伝言サービスなど衛星で安否確認ができるようにする考えという。

   こんな夢のある日本版GPSだが、問題は巨額な費用だ。4基態勢にするのでも今後、約1500億円かかり、7基体制にするには約2300億円が必要になる。

   宇宙開発戦略本部を担当する内閣府の高官は「2、3号機を打ち上げないという選択しはない」と明言しているが、4基か7基かは、政府内でも議論は分かれている模様で、4月に主要紙がこぞって報じた時は、読売が「4基体制で運用する方針を固めた」、日経が「7基に増やす方針を固めた」と見方は完全に割れ、朝日は「7基か4基体制に増やす案をまとめた」と両論併記で報じるなど、バラバラだった。7月中にも決まるとの見方があったが、菅内閣の居座り・政局の迷走で「内閣府主導といっても、誰が仕切るか、はっきりしない」(与党関係者)のが実態。当面、来年度予算の概算要求にどう盛り込むかがポイントだが、概算要求の締め切りは3次補正のからみで9月末に先送りされる見通しで、何基体制にするのか、見通しは立っていない。

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