インターネットを利用した女子大生の援助交際が、米国内で急増している。米ネットメディアの「ハフィントン・ポスト」が2011年7月28日に特集記事を掲載し、話題となっている。
若い女性に金や高級品を与えて関係を持つ中高年男性を「シュガー・ダディー」(女性はマミー)、援助を受ける側を「シュガー・ベイビー」と呼ぶ。このダディーとベイビーをマッチングするサイトが、「学費目的の女子大生」にじわじわと人気を集めているというのだ。
ニューヨーク大498人、ハーバード大231人
アメリカの大学の授業料は、年間約1万5000~4万5000ドルとされ、裕福な家庭でなければ支払うのは難しい。ハフィントン・ポストによると、2011年の大学卒業生が抱える学資ローンは平均で約2万7200ドル(約200万円)に上る。
近年、「援助」を売りにしたデートサイトで学費目的の女子大生の登録が目立ち、中には学費目的のシュガー・ベイビー専門のサイトもある。注目されているのは、会員約80万人の「Seeking Arrangement(シーキング・アレンジメント)」というサイトだ。07年に約3万8000人だった大学生の登録数は、11年7月には約18万人まで急増したという。
シーキング・アレンジメントでは、シュガー・ダディーの月会費は50ドルで、プレミアム会員だと2400ドル。一方のベイビーは無料だ。大学生の登録増を受け、ベイビーが大学発行の「.edu」ドメインのメールアドレスを登録すれば、VIPのダディーへのアクセス権が与えられるというシステムも導入されている。
「23歳の医大生」を名乗る女性シュガー・ベイビーのプロフィールを見ると、複数の顔写真のほか、身長、体型などの特徴が記載され、「経済的な援助を求めています」といったコメントが書かれている。ダディーに求める月あたりの援助額はこの女性だと「オープン(交渉に応じる)」となっている。ほかでも「オープン」が多いが、「月3001~5000ドル」などと明示しているベイビーもいる。
ハフィントン・ポストによると、このサイトに登録している有名大学のシュガー・ベイビーは、ニューヨーク大学が1位で498人、カリフォルニア大学が8位で253人、ハーバード大学が9位で231人という。
売春ではない?
多くの登録者は偽名や嘘の身分を登録する。そのため、集計された全員が「現役女子大生」とは言い切れないだろう。学費を目的とする若い女性を援助するとなれば聞こえも良く、ダディーたちも援助しやすいはずだから、それを狙って「学生」を名乗る可能性もある。
また、「売春ではないか」との批判もある。しかし、ハフィントン・ポストによると、多くの女子大生は「売春」との意識を持っていないようだ。また、セックス産業を研究するジョージワシントン大学のロナルド・ウェイザー教授は、「ダディーとベイビーの出会いという宣伝のもとで、多くの売春行為が行われているだろう」と指摘しながらも、「個人がセックスの直接の代償としてカネやモノを受け取っている場合に限り、違法といえる」と話しているという。
この手の出会い系サイトでは、「若い女性との出会いを求める裕福なシュガー・ダディー」と「学生、女優志望など、これから何かを始める魅力的な女性」を結びつける「双方に有益な関係」などをウリにしており、「セックス」を直接の目的としては宣伝していない。シーキング・アレンジメントは、「裕福な人々がより若くて魅力的なパートナーを探すのは自然なことであり、若者が快適さや贅沢品を提供してくれる洗練されたパートナーを探すのも自然なこと」と説明している。