「国民生活センターとの一元化」は総スカン
そんな消費者庁が今、最も熱心に進めているのが、国民生活センターを廃止し、丸飲みしようという一元化だ。議論の発端は、昨年12月に独立行政法人の見直し方針が閣議決定され、両機関の業務重複も指摘されたこと。しかし、消費者団体などからは、むしろ「消費者行政の後退につながる」との反発が強い。全国クレジット・サラ金問題対策協議会など15の消費者団体は7月、「消費者庁は強引に一元化の手続きを進めようとしている。消費者目線がまったく感じられない」と強く抗議。消費者委員会も「一元化には関係者の意見が反映されていない」と批判している。
国民生活センターは1970年に設立され、全国の自治体の傘下にある消費生活センターと連携して、情報を収集・分析するなどし、迅速な注意喚起などの業務に務めてきた。国民生活センターが多様な法解釈を示すことで、各消費生活センターは地道な消費者相談の解決に必要な手がかりを得てきた側面が特に大きい。厳密な法解釈をするしかない消費者庁にセンターが飲み込まれたら、「センターの重要な機能が損なわれる」という批判があるのだ。
反発が大きい一元化を断行しようとする背景には「実績のあるセンターを取り込んで、起死回生を図りたい」との思惑が透けて見える。「消費者庁はまず、自身の組織改善し、実績を上げるべきだ」との声が幅広い関係者から上がっている。