独唱ではなく、みんなで歌うのが望ましい
音痴矯正やヴォイストレーニングを行っているBCA教育研究所を主催する高牧康さんは、「『君が代』は音が結構飛びますし、使われている音階も独特。昔、ヨーロッパのコーラスグループが歌ったときも失敗していました」とした上で、今回の太志さんの独唱については、キー(調)の選択に問題があったと指摘する。
「君が代」は法律で楽譜が定められていて、学校教育現場ではレから始まる楽譜を使っている。しかし、それでは高くて歌いにくい人もいるので、サッカーなどのスポーツ現場では音を下げてシの♭から始まる楽譜を使うのだという。
「彼もシの♭から始めたんですけど、元気よく見せるためか、それとも、高い声が出ることをアピールするためか、1オクターブ高いところから始めちゃった。そうすると一番高い『千代に八千代に』の『や』のところが、かなり高くなってしまい、今度は上手く降りることができずに音を外してしまった」
ネットにも「君が代は高低差ありすぎだから低すぎるくらいででないと、『八千代』と『石の』で空中分解する」という意見が寄せられていた。高牧さんは、太志さんは結果的に失敗してしまったが、それを強く責めるのも違うとし、
「アカペラで伴奏がありませんから、自分の歌いやすい好きなキーで歌えばいいのに、よく使われるキーに忠実だったのは偉かった。よく聴くと、彼の独唱に合わせて1オクターブ下でみんな歌っていますよ。そういう意味では成功だったとも言えます。そもそも、国歌なのですから、歌手が独唱するのではなく、楽器が伴奏して、その上でみんなで歌えばいいと思いますね」
と話している。