昨年は「悪しき隣人」発言で物議
また、翌8月11日午前の会見でも、
「万が一にもそういった(他国から侵略される)事態になれば、近隣諸国との経済関係等に相当大きなダメージを受けることが予想されるが、そうしたことよりも国土を保全する、領域を保全することの方が優先すると思っているの。一時的な経済的な影響にかかわらず、万が一にもそういう事態になれば自衛権を行使するという思いを申し上げた」
と、領土保全は近隣諸国との経済関係に優先するとの見方を示した。
この発言は国外でも報じられており、例えばロシアの国営ラジオ放送の「ロシアの声」は、
「枝野氏は『他国』の意味するところを特定しなかったが、中国のことを指しているとみられる」
と報じている。その中国国内では、やはり反発の声があがっている。例えば日本に批判的な論調が多い環球時報(電子版)は、
「中国側は再三にわたって釣魚島と、その周辺の島が昔から中国の固有の領土であることを強調している。議論の余地なく、中国は(これらの島に対して)主権を持っているが、日本当局はこの事実を変えようと企んでいる」
と批判。コメント欄には、「実際には何もできない。ただの宣伝」という声もあったが、
「打倒小日本」
「軍国主義完全復活」
「これは中国に対する宣戦布告だ」
などと勇ましい意見が続々と寄せられた。
枝野氏は民主党の幹事長代理だった10年10月2日、さいたま市内で行った講演の中で、
「悪しき隣人でも隣人なので、それなりに付き合いをしていかなければならない。だが、例えば米国や韓国との関係と同じように信頼関係をもって物事を前に進めることを期待する方がおかしい」
と発言。仙谷由人官房長官(当時)が「無用の摩擦を生んではならない」と沈静化につとめた経緯がある。
中国側は11年1月、枝野氏が官房長官として入閣した際に人民日報(電子版)で枝野氏を「中国に厳しい姿勢をとるタカ派として知られている」と紹介。「鳩山由紀夫前首相時代のような(緊密な)関係に戻ることは、さらに難しいだろう」と、警戒感をあらわにした。
枝野氏の今回の発言をきっかけに、中国国内でも「悪しき隣人」発言が蒸し返される可能性もある。