大阪市長選の日程が、2011年11月27日投開票と決まった。橋下徹・大阪府知事は、任期前に辞任して市長選と府知事選とのダブル選にする意向を表明している。市長選と知事選のどちらに出るのかについては、このほど市長選への立候補を決断したようだ。そうなると、知事選の候補者はどうなるのか。
フリーキャスター、辛坊治郎氏ら著名人の名が挙がるものの、「結局は地味な顔ぶれ同士になる」との予測もある。
辛坊氏や中田、東国原氏の名も
橋下知事は7月22日、市長選候補選びについて「難航している」として、「ほかにいなければ僕が出る」と報道陣に述べた。また、読売新聞報道によると、橋下知事は8月6日、街頭演説で、知事選には「次の知事」を擁立し、自身は市長選に立候補する意向を示した。
一方、知事選候補について橋下知事は「市長選に比べ難航していない。数はたくさんいる」(7月22日)と述べていた。フリーキャスター、辛坊氏の名が2010年夏ぐらいから挙がっていたほか、11年6月には、橋下知事が中田宏・前横浜市長と東国原英夫・前宮崎県知事との懇談後、「ダブル選の立候補者として(2人について)頭の片隅に入れておいてほしい」と報道陣に述べたこともあった。橋下氏自身による再立候補の可能性も指摘されていた。
辛坊氏は首長選への立候補について、これまで何度も否定的な考えを示していた。8月8日には、スポーツ報知が「(辛坊氏が首長選について)不出馬の意向を固めていたことが7日、分かった」と伝えた。9月以降も現在テレビ出演している局と「契約を更新する意思を固めたようだ」としている。
再選をめざす意向を固めている平松邦夫・大阪市長も、「相棒」候補の擁立を模索している。7月21日の会見では、「1枚対2枚の戦いではどちらが有利か明白」と述べた。市長選単独でなく、知事選候補とコンビで選挙戦に臨んだ方が有利だ、との認識を示したものだ。「ペアで戦う人がいれば大きな力になる」とも話した。
市長選は橋下VS平松で「ほぼ間違いない」
大阪ダブル選挙はどんな構図になりそうなのか。「橋下徹 改革者か壊し屋か」など大阪府政関連の著書もあるジャーナリストの吉富有治さんに聞いた。
吉富さんは、市長選については、橋下知事と平松市長との戦いになるのは「ほぼ間違いない」とみている。
一方、知事選については、「地味な戦いになりそう」という。橋下知事が代表を務める「大阪維新の会」の幹部らは、知事選については、「(自分たちも相手方も)どういう候補になっても勝てる」と自信を見せているそうだ。
平松市長側の知事選候補は「これといった人物の名前は挙がっていない」状況で、仮に決まってもよほどの著名人でもない限り短期戦では浸透が難しく、橋下知事の「風」を受けた候補の方が有利とみているようだ。現職市長に挑む形の市長選とは事情が全く違う、というわけだ。
橋下知事側の知事選候補では、辛坊、中田、東国原の3氏の可能性は低いとみられており、維新の会の某府議の線が有力という。
「維新の会」旋風はまだ続くのか
吉富さんは、大阪ダブル選挙の争点について、「改革派の橋下知事側VS既存政党に頼る守旧派の平松市長側」といった、大雑把なイメージだけの対立軸にしてはいけないと指摘する。本来の対立軸であったはずの、大阪都構想について、真正面から徹底的に是非を議論するべきだし、有権者もその議論を見極めた方が良いと促している。
大阪ダブル選の前哨戦として注目された同府守口市長選は8月7日、投開票され、「維新の会」推薦候補が、主要政党の市議や平松・大阪市長らが支援した新顔を破った。維新の会は4月の吹田市長選に続き連勝した。
維新の会関係者の間では、守口市長選での勝利について、ダブル選へ向け勢いがついたとの分析がある一方、投票率(39.54%)の低さに「風」の衰えをみて懸念を示す向きもある。