震災のハンデ背負い勝ち取った甲子園
3月11日の地震、津波。そして原発事故…。そのあおりを聖光学院も受けた。練習もできなければ、春の県大会も中止。実戦練習のオープン戦は遠征して補った。その間に被災地でのボランティア活動。そう言ったハンデを携えて勝ち取った甲子園出場だった。
昨年夏の甲子園を経験している歳内は回を追うごとに全力投球を見せた。まさに故郷の苦しみをぶつけるような熱投だった。16三振を奪う一方、10安打も浴びた。最後まで全力で投げ切り、149球も費やした勝利である。
歳内は無安打のまま最後の打席に向かい、サヨナラ安打を放った。
「あきらめない姿を野球で示したい」
その決意と約束を、歳内をはじめとする選手たちは見事に果たした。戦いを終えた聖光学院はとてつもなくたくましく見えた。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)