パナソニックの白物家電ハイアール売却 「敵に塩を送る」ことになりはしないか

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   パナソニックが完全子会社の三洋電機の白物家電事業(冷蔵庫と洗濯機事業)を中国家電最大手のハイアールグループ(海爾集団)へ2011年度中に売却すると発表し、波紋を広げている。パナソニックは三洋と白物家電事業が重複しており、経営合理化のためには重複解消が急務だった。

   しかし、中国最大手のライバルメーカーに三洋の技術や海外販売網を譲渡すれば、パナソニックにとって価格競争力で勝るハイアールが脅威となりかねない。三洋の重複部門の切り売りが結果的に「敵に塩を送る」ことになりはしないか――。そんな懸念が業界でささやかれている。

売却は三洋の冷蔵庫と洗濯機関連の子会社など9社

   パナソニックがハイアールに売却するのは、三洋の冷蔵庫と洗濯機関連の子会社など9社。国内では洗濯機を開発する完全子会社の三洋アクアや、ハイアールとの合弁で冷蔵庫を開発するハイアール三洋エレクトリックなどを売却。東南アジアではインドネシアやベトナム、フィリ ピンなどで冷蔵庫や洗濯機を製造・販売する子会社や関係会社を売却する。9社の売上高は約700億円に対し、売却額は約100億円とみられる。三洋の従業員約2300人(国内約300人、海外約2000人)の大半がハイアールに転籍するという。

   ハイアールは2002年に三洋と包括提携した経緯があるが、冷蔵庫を残 し協力関係を解消していた。三洋は冷蔵庫、洗濯機など白物家電に強く、洗濯機では水を使わずに汚れを落とす商品を開発するなど、この分野のパイオニアとして知られる。海外でも東南アジアで「SANYO」の知名度は高く、日本と東南アジアで劣勢を否めないハイアールにとって、三洋の白物家電事業を手中に収めるメリットは大きい。ハイアールは三洋の技術や生産拠点だけでなく、三洋の知名度が高いベトナム、インドネシア、フィリピン、マレーシアの4カ国では数年間、「SANYO」ブランドを使用する権利も有するというから、至れり尽くせりだ。

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