ハイエースが危ない 多発するミュージシャンの「機材車」盗難

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   ここ数年、ミュージシャンの「機材車」が機材もろとも盗難される事件が相次いでいる。2008年には元RCサクセションの「チャボ」こと仲井戸麗市さん、2010年はロックバンドの「LAST ALLIANCE」や「ASPARAGUS」、2011年には「NICOTINE」―そして先日7月30日には、ポストロックバンド「toe」が被害に遭ったことが分かった。

   楽器やアンプなどの音楽機材はミュージシャンにとって単なる「商売道具」ではなく、改造・メンテナンスを重ね、長年の使用で手になじんだ、いわば「代えのきかない物」。大事な機材が忽然と姿を消してしてしまったことで「toe」メンバーはすぐにツイッターで情報提供を呼びかけ、ファンらも協力して行方を追っている。

途上国での人気高まり 窃盗団が目をつける

盗まれた車はどこへ?(画像はイメージ)
盗まれた車はどこへ?(画像はイメージ)

   事件は、「toe」メンバーが山梨県小淵沢でのレコーディングを終えて横浜へ戻ってきた際に起きた。ツイートによると、盗まれた車はトヨタ・ハイエースのグランドキャビン(シルバー「横浜302 な 9176」)。新車価格は333万9000円だが、積んでいた機材は車の価格をはるかに上回り、推定1000万円~1500万円にもなる。しかし一番は金銭面もよりも精神的なショックのようで、メンバーの美濃隆章さんは事件当初、「不思議と怒りはこみ上げてこない。喪失感と脱力感のみ」と放心状態だった。ファンからも「こだわりのある高価な道具を盗ることは『死ね』と言ってることと同じ」「ほんとやったひと許せない!!そいつの大事なもの盗難してやりたい!」などと悲しみと怒りの声が噴出した。

   上記の5事件で盗まれたのは、いずれも「ハイエース」。機材車の定番だ。日本損保協会の調査によると「ハイエース」は07年から09年まで3年連続で自動車盗難のワースト1位。年間約2500台が盗まれている(未遂件数等を含まず)。「盗難」に遭いやすい車種なのだ。

   多くの人を乗せられて使い勝手がよく、丈夫で長持ちすることから、中東やアフリカなど途上国で根強い人気がある。一方で、ややセキュリティが甘いとも言われ、プロの窃盗団に目をつけられやすく、分解して海外に送られているようだ。千葉県警が08年に摘発した窃盗団は1年半で約100台を盗んでいた。

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