深刻化する大学既卒者の「就活」 新卒でなく、経験もなく、門前払い?

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   2011年春の大学卒業生は、ほぼ5人に1人の割合で定職に就いていない。そのうち相当数の既卒者は、2012春卒業予定の学生らとともに就職活動に再度参戦する。東日本大震災の影響か、大学への企業からの求人数が減っているという調査結果もある中、就職活動は依然厳しい状況が続きそうだ。

   文部科学省が11年8月4日に公表した学校基本調査速報によると、11年春の大学卒業者数は約55万3000人だった。アルバイトなど「一時的な仕事」には就いた1万9000人を含めると10万7000人が就職も進学もせず、定職に就かなかった。卒業者全体の約2割にあたる。

「卒業後3年以内既卒者の新卒枠での応募受付」国が要請

就活が厳しい状況はいつまで続くのか
就活が厳しい状況はいつまで続くのか

   大卒者の就職率は61.6%で、前年より0.8ポイント上昇したとはいえ、ほぼ横ばいだ。リーマンショック前の2008年春の69.9%に比べ、厳しい状況が続いている。

   定職に就かなかった大卒者が10万人を超えたのは2010年春に続き2年連続だ。10年春の「10万人」はその後、どうなったのだろうか。文科省の担当部局によると、「追跡調査は行っていない」そうだ。

   就職先が見つからないまま学校を卒業した若者の就職問題は深刻さを増している。新卒でもなく、就業経験もないため、門前払いの形になることもある。仮に「参戦」できたとしても、次年度の新卒者だけでなく、自分たちより前の年の同様の既卒者らとも就職の枠を争う形となる。さらに、一端就職した後、ほどなく退社して転職を目指すいわゆる「第2新卒」組とも競合する場合がある。

   こうした事態を受け、文科省や厚生労働省などは11年7月8日、「卒業後3年以内既卒者の新卒枠での応募受付」や12年度新卒者の採用枠拡大などを約260の経済・業界団体に要請したと発表した。また、国は卒業後3年以内の既卒者の採用を行った会社に奨励金を支給する臨時の制度も設けている。

   厚労省では2010年秋から、既卒3年以内の若者も対象にした「新卒応援ハローワーク」を各地で展開している。同省によると、11年3月卒業の大学等(短大など含む)既卒者で就職を希望する人のうち、同ハローワークに3万7000人が登録した。4~6月の間にこのうち、1万6000人の就職が決まったという。

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