民放の支払いは「嘘だろ」という低水準
それにもかかわらず、さらに負担を要求される形で、さすがに携帯電話業界からも異論が出ている。ソフトバンクの孫正義社長が7月28日の決算説明会で、スマートフォンの普及で、トラフィック(データ量)が今後5年で40倍に増加するとの予測を念頭に、
「ますますこれから電波が必要になる。一方、一番沢山電波を使いまくっているのは、テレビ局とラジオ、その他事業者、防災無線とか色々ある。電子タグとか、(末端の)ユーザーがほとんど使っていないにもかかわらず、一部の事業者のために、そういう電波が非効率的に割り振られている。それってちょっとおかしくないか」
と、不公平感を訴えた。その上で、
「色々な電波に税金をかけるとすれば、電波を利用している各業界に、等しくかけていただきたい。その上で、無駄に使われているところについても見直していただきたい」
と主張した。
なお、放送局が09年度に支払った電波利用料は30億6000万円で、電波利用料全体の4.8%に過ぎない。
孫社長の電波利用料についての主張には、与謝野氏も異論はないようだ。7月26日の会見では、
「テレビというのは、払ってないのです、ほとんど。東京にあるメジャーの民放が払っているのは年間数億円で、嘘だろという水準です」
と、テレビ局の負担が少なすぎるとの認識を示しており、7月29日の会見では、テレビ局が支払う電波利用料の値上げについて
「それは半ば当然」
と発言。改めてテレビ局に負担を求めていく考えを強調している。