自民党も「一枚岩」とはいかず
菅首相を「ペテン師」とまで呼んだ鳩山由紀夫・前首相も、同署名活動へ協力しなかった。鳩山氏は署名を断った際、「太陽を照らしながら首相に衣を脱いで頂く…」と、いわゆる「太陽政策」路線をとっていることを明かした。小沢氏の念頭にある、不信任案再提出・賛成という「北風政策」とは、ぎりぎりまで一線を画すつもりなのだろうか。
岡田克也幹事長ら民主党執行部は、特例公債法案を今週中に衆院を通過させ、お盆前に法案処理を終え、盆明けにも党代表選に向けた動きに入りたい考えだ。実現に向け、野党に法案成立への協力を求めている。野党関係者の間では、「菅首相の退陣は、野党次第」という「包囲網」を民主執行部が築いていることに不快感を示す声もある。
菅首相退陣のげたを預けられた形の最大野党、自民党の方も、一枚岩ではない。石原伸晃幹事長は、特例公債法案について「たなざらしは好ましくない」との認識を示し、「3条件」通過による菅首相退陣、そしてポスト菅政権との大連立を含む何だかの連携を視野に入れている様子だ。
一方、石破茂政調会長は、「特例公債法案を通すことと首相が辞めることとは何の関係もない」と話している。民主党によるマニフェスト見直しの進捗状況を厳しく見極める姿勢で、同法案賛成にも慎重な考えを示している。自民党内には、菅首相へは協力せず、解散に追い込もうという声もある。
そもそも、自民党に限らず民主党も含め国会内では、菅首相が本当に「3条件」達成後に退陣するのか、という不信感が依然として漂っている。
9月には首相の訪米が予定されている。アメリカ行きの飛行機に乗る「首相」は誰なのだろうか。菅氏である可能性も現実味を帯びている。