雨水蒸発繰り返し濃縮した可能性
女性の依頼で測ったセシウム線量について、アレルギー食品検査センターの担当者は、個人データの数字そのものについては答えられないとしながらも、こんな高濃度はまずないと明かす。
「柏市やその周辺からは、家庭菜園や学校の土が心配だとして、個人的に測定を依頼する方は多いです。しかし、高くてもせいぜい数千ベクレルまでで、場所によっては不検出のところもあります。今回のは、特別高い数字だったので、正直びっくりしました」
とはいえ、ホットスポットと呼ばれる地域の線量は、総じて高い傾向にあるという。アレルギー食品検査センターの担当者は、風向きで放射性物質が流されたとみており、雨水がたまりやすい場所では、数百ベクレルの線量になることも多いそうだ。これは、野菜などの規制値500ベクレルに引っかかりかねない値だ。
柏市で測定された土がとりわけ高濃度になったのは、汚染された腐葉土が持ち込まれたりしていた可能性はある。しかし、人為的なものではないこともありうると、この担当者はみる。
「水はけが悪い場所で、雨水が溜まって蒸発するのを繰り返すことでセシウムが濃縮したのではないでしょうか。いわば、浄水場の汚泥などに濃縮される仕組みと同じようなことが自然界でも起こっているのではないか、ということです」
柏市の清掃工場では、2011年6月24日に採取された焼却灰から7万ベクレル強ものセシウムが検出されている。これは、刈り取られた草やせん定された枝葉が燃えて灰になり、セシウムが濃縮されたのが原因とみられている。住宅地でも自然に濃縮されうるなら、土はほこりになって舞い上がる可能性もあるだけに、今後さらなる調査が求められそうだ。