「低線量被曝のリスク推定は科学的に困難」
一方、ICRP委員でもある大分県立看護科学大学の甲斐倫明教授は、公開討論会で、内部被曝については、「外部被曝と同じ線量なら、それよりリスクが高いという証拠はありません。リスクは同じです」と主張した。
外部・内部被曝の両方とも、粒子線の影響も考えなければならないが、まず全体としての被曝線量をみるべきだとする。20ミリシーベルトなどは、安全基準ではなく、あくまでも目安や上限値であって、そこまで被曝していいということではないという。甲斐教授は、「低線量被曝のリスク推定は科学的に困難ですが、どんなに微量でも何らかのリスクがあります」として、全体として浴びる線量を少なくすることにむしろ注力すべきではないかと指摘した。
そのうえで、甲斐教授は、西尾正道病院長と同様に、「今後は、内部被曝の線量情報もしっかり評価していくことが必要です」と提言した。