「モテ男」は外見だけじゃない。「声」も大きな要素――最近、若者の間で「声」に対する関心が高まっているという。
そんな中、自分の声が「モテ声」かどうか簡単に診断できる「モテ声診断VQチェッカー」が登場した。パソコンやアイフォーンに指定されたせりふを吹き込むだけで、自分の声の「モテ」度をすぐに診断できるサービスだ。
「モテ声」は「明瞭で、聞き取りやすい声」
テスト方法は簡単だ。パソコンなどのマイクに向かって「素敵な声の人が好き」とだけ語りかける。すると瞬時に「点数」が表示される。100点満点で50~60点台のユーザーが多いといい、採点はなかなか辛口だ。
モテ声診断VQチェッカーを提供しているのは、「いい声になろう!」をテーマに、声に関する情報を発信している「声総研」。感情音声の研究・合成を専門とする東京工芸大学助教・森山剛さんの協力を得て製作された。
声総研では「モテ声」を、「明瞭で、聞き取りやすい声」と定義している。芸能人で言えば、福山雅治さん、仲間由紀恵さんなどが「モテ声」の典型だという。
このVQチェッカーでは「声の高さ」「声の大きさ」「滑舌の良さ」など5要素からユーザーの「声」を診断する。2011年5月の設置以来すでに利用回数は300万回を突破し、6月に提供開始したアイフォーン版も22万ダウンロードを記録、無料アプリ部門で1位となっている。
ネット時代だからこそ肉声が聞きたい
「モテ声」ヒットの背景となっているのが、若い世代の「声」への注目だ。自分の声を公開できるSNSや、声優ばりの美声を売りにしたネット生放送が人気を集めるなど、自らの声をネット上で積極的に配信する人が少なくない。声総研による調査では、20代女性がキュンとくる男性の部位は、外見よりも「声」、という意外な結果も出た。
「声総研」を立ち上げた「面白法人カヤック」では、2007年から「声」を中心にしたSNS「こえ部」を運営している。ユーザーは「お題」にそって、せりふなどの演技や物まね、歌などを録音・投稿。人気のユーザーには多くのファンがついていて、再生数は3000~4000にも達するという。現在の登録者は実に37万人近い。
声総研発起人で、こえ部プロデューサーの鈴木啓央さんは、
「テキスト文化と違い、『声』が血の通ったコミュニケーションを可能にすること、また声優人気もあって、今の若者の間には『声』に対する関心が高まっています」
と話す。
ちなみに「モテ声」を出すための秘訣は、「腹式発声」と「口角(口の両端)を上げること」とのこと。声総研の統計によれば、声がいい人はそうでない人に比べ2割増しで「モテる」といい、これからは外見よりも声を磨くことにやっきになる人が増えるかもしれない。