震災で大きな打撃を受けた岩手県内の経済活動が回復の足取りを速めている。日本銀行盛岡事務所が7月27日に発表した岩手県金融経済概況(おおむね7月半ば時点)によると、内陸部では震災前の水準近くまで回復した分野が増えており、沿岸被災地でも経済活動再開への動きが具体化している。
概況では、個人消費の大幅な伸びや内陸部での生産回復によって経済活動の「正常化に向けた動きが一段と広がりつつある」と総括している。
6月の百貨店売上高は前年比で9.0%増えた。スーパーの売上高も6.0%伸びた。ともに7月に入って一段と好調な売れ行きを見せている。震災以来、前年比で大幅なマイナスだった新車登録台数も6月にはプラスに転じた。平泉の世界遺産効果もあって宿泊施設の客足は徐々に戻りつつあるという。
公共投資は、沿岸部のがれき処理や仮設住宅建設といった復旧工事を中心に前年を上回り、6月の請負額は前年の2.4倍に達した。漁港や防潮堤整備など復興工事の本格化はこれからで、公共工事特需はかなり長期間にわたって続くと見られる。
住宅投資には持ち直しの兆しはないという。