九州電力の玄海原発や中国電力の島根原発など、点検後も再稼働できない原子力発電所が増え、その影響で代替の火力発電用の燃料費が急増していることから、電力会社は厳しい経営状況に陥っている。
九州電力は2011年4~6月期連結決算で初の経常赤字を計上。中国電力も4~9月期の連結中間決算で最終損益が40億円の赤字になるとの予想を発表した。関西電力は4月に発表した12年3月期の業績予想を「前提が崩れた」として撤回。このままだと年内にも11基のうち10基の原発が止まることから、経常赤字に転落する可能性が高まっている。
世界的な原油やLNG価格の高騰が追い討ち
九電が2011年7月27日に発表した4~6月期連結決算によると、経常損益が125億円の赤字となり、第1四半期として初の経常赤字に転落。玄海原発の再稼動の見通しが立たないうえ、年内には6基の原発がすべて停止する可能性があることから、12年3月期決算も経常赤字の可能性が高まっている。
このため、九電は銀行株などの保有株式や遊休地の売却など、資産リストラに着手する方針を打ち出した。
また、中国電は4~9月期の最終損益が40億円の赤字に転落すると予想。島根原発1号機の運転再開が見込めなくなったため火力発電の比率を高めるが、比較的コストの安い石炭火力発電所が定期点検中で、石油と液化天然ガス(LNG)のウエートが高まった、と説明する。
一方、四国電力が同日発表した4~6月期連結決算は、経常利益が前年同期比30.5%増の111億円の黒字となった。売上げは6%増の1403億円で、東京電力など他の電力会社への電力融通が増えたことによる。
伊方原発3号機を停止したことで火力発電の比率が高まり、燃料費が増加したが、一部の発電施設の減価償却費が減少したことで、なんとか増益を確保した。
しかし、9月には伊方原発1号機が、12年1月には2号機が定期点検に入る。原発停止による電力不足は火力発電でまかなうため、燃料費の増加は避けられない。しかも火力発電に使う石油やLNGの価格は世界的に上昇していて、これらが追い討ちをかける形だ。 四国電の千葉昭社長は「(原発がすべて停止すれば)最終赤字になる可能性はある」と、厳しさを隠さない。