「シー・シェパードに屈するのか」 「捕鯨中止も選択肢」に懸念広がる

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   反捕鯨団体シー・シェパード(SS)に日本は屈するのか――水産庁の検討委員会報告書が波紋を広げている。大手マスコミの一部が「調査捕鯨 中止も選択肢」と報道したことなどによる。

   捕鯨の賛否はともかく、「(SSの)暴力行為に屈する印象を与えるのは問題だ」と指摘する関係者もいる。

多数意見は「毅然とした態度で継続」

水産庁の検討委が調査捕鯨報告書をまとめた。
水産庁の検討委が調査捕鯨報告書をまとめた。

   SSによる「酪酸弾攻撃」などで日本の調査捕鯨船乗組員らが軽傷を負ったことを受け、南極海での調査捕鯨は2011年2月に活動中止に追い込まれた。

   水産庁の「鯨類捕獲調査に関する検討委員会」(委員は7人)は、この調査活動中止を受けて設けられ、2011年7月26日、中間とりまとめの報告書を公表した。

   報告書では、「毅然とした態度で継続すべきだ」との意見が多数だったとした上で、「国際的批判や費用対効果から縮小・中止するべきだ」との少数意見もあったことが書かれている。SSの妨害活動を念頭に、調査継続の場合、安全確保の重要性が強調されている。

   国は従来から調査を継続する姿勢で、今回の報告書の多数意見を受け、2011年末の捕鯨調査船団出航に向け、安全確保対策を進めることになりそうだ。

   少数意見として「縮小・中止」が報告書に触れられた意味合いについては、報道各社で受け止め方がわかれた。例えば、7月27日付朝刊の読売新聞(東京最終版)は、「調査捕鯨 中止も選択肢 『続行』と併記」との見出しで報じる一方、日本経済新聞(同)の見出しは「調査捕鯨 毅然と継続」だった。

   「調査捕鯨 中止も選択肢」などの報道を受け、インターネットのツイッターや2ちゃんねるでは、捕鯨への賛否の意見があらためて並んだ。

SSは抗議船奪還で寄付集め

   「ほとんどの国民が捕鯨望んでない」「(捕鯨を続けても)日本の評判が悪くなるだけだ」と「捕鯨中止も」に歓迎の声も多い。一方で、「今やめたらテロリストに屈したと世界にアピールすることになる」「妨害行為による調査中止といった誤ったメッセージを発信する」との懸念も寄せられている。

   捕鯨推進関連団体のある関係者は、報告書に「中止」意見も載ったことについて「残念なこと」と話した。捕鯨に賛否両論あるのは承知しているが、SSの妨害活動が国際的にも問題視されている「今」というタイミングでは、「日本が(SSの)暴力に屈しそうだと思われてしまう。捕鯨問題を超えて国家の威信にも関わりかねない」と指摘した。

   7月15日(日本時間)、国際捕鯨委員会(IWC)の年次総会は、SSによる日本の調査捕鯨への妨害活動を防止するよう各国に対策を求める決議案を全会一致で採択した。SSを名指しした上での決議は初めてだ。

   SSの抗議船は現在、イギリスの裁判所の命令で差し押さえられている。マルタの漁船の網を破った損害賠償に絡む案件だ。SSのサイトでは、抗議船の返却に必要な預託金(1億円強)の寄付を支持者らに求めている。

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