中長期的に原発から脱却するのが「縮原発」?
一方、経済界では経済同友会が7月15日まで仙台市で開いた夏季セミナーで、今後のエネルギー政策を議論。中長期的に「老朽化した原発を順次廃炉にし、再生可能エネルギーの推進を目指すべきだ」とし、将来的に原発の廃炉を目指すことを意味する「縮原発」との文言を合意文書に盛り込んだ。
同友会の夏季セミナーでは、原発をめぐる議論が続出。「当面、原発に代わる代替エネルギーは存在しない」とする現実論の一方、「化石燃料もウランもいずれは枯渇する。縮原発、脱化石燃料を目指さなければ未来はない」など、政策転換を求める意見も出た。長谷川閑史代表幹事は「脱原発とは違うという説明を尽くすことを条件に、『縮原発』を文書に盛り込むことで理解を得た」と述べた。
経済界では経団連が原発事故後も一貫して原発推進を堅持。「脱原発」は多くの経済人にとって「急速に原発を停止させ、電力不足など社会を混乱させる」という負のイメージで、菅直人首相が表明した「脱原発依存」にも批判が強い。そこで登場したのが、中長期的に原発から脱却する「縮原発」というわけだ。
政界では菅首相の「脱原発」路線を受け、次期衆院選で原発が争点となるとの見方が一般的だ。このため原発を推進してきた自民党も「総合エネルギー政策特命委員会」(委員長・山本一太参院政審会長)を設け、原発の是非をめぐる議論に着手した。しかし、菅首相が表明した「脱原発」を追認するのは自民党として抵抗感が強く、経済同友会が提唱した「縮原発」や、エネルギー政策の抜本的な転換を図る「超原発」などといったキーワードが浮上しているという。