キヤノンやニコンに遠く及ばない
両社の思惑がピタリと一致して再編に発展した形だが、ペンタックスのカメラが新天地で再び輝けるかは心もとない。デジカメ市場でHOYAとリコーは両社のシェアを合わせても6%台、今のHOYAと同じ8位にとどまり、キヤノンやニコンには遠く及ばない。
近藤社長はリコーのカメラ事業の現状について「カメラ好きが好きなように作っている。もう少しビジネスにしなければいけない」と指摘し、スリム化の必要性にも言及した。リコーは今回の買収発表に先立つ5月、1万人規模のリストラも発表しており、人員削減を進めながら、海外案件も含めて積極的な投資を繰り返す近藤社長に対し、社内からも「勝算はあるのか」と不安の声が聞かれる。
市場でも「『弱者連合』のデジカメ事業が成長のけん引役になるとは思えない。リストラ費用と買収費用が重荷となり、収益にマイナスになるだけ」(アナリスト)と厳しい評価が目立つ。
二つの老舗のブランド力と技術力をどう融合していくのか。リコーが早期にシェア拡大策を打ち出せなければ、価格下落と競争が激しいデジカメ市場で存在感を示せず、社内外の懸念が現実化する恐れもありそうだ。