新聞協会長選任巡るドロドロ 就任条件は「販売正常化」

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「販売正常化」の背景は消費税アップ

   朝日や地方紙がコスト構造の改善を急ぐ理由のひとつが、「消費税問題」だ。政府・与党の社会保障・税一体改革案では、消費税率を「2010年代半ばまでに段階的に10%へ引き上げる」と明記されているものの、業界内では「部数がさらに大きく落ち込むため、消費税分は価格に転嫁できない」との声が多く、消費税率アップがコスト増となり、経営を直撃するからだ。

   対照的なのが読売新聞だ。震災の影響で11年4月、17年ぶりに「1000万部割れ」したものの、早急に1000万部回復を目指したい方針だ。従来から、渡辺恒雄氏は「1000万部死守」を掲げており、この方針が揺るがないことが改めて確認された形だ。

   この様な状況で、秋山氏は前出の条件(1)の具体的な内容として、「販売正常化委員長」のポストに、内山氏の後任にあたる白石興二郎・読売新聞グループ本社社長の就任を要求。新聞協会の総務担当によると、このポジションは「会長の意向で委嘱される」もので、読売新聞社を販売正常化の流れに引き込むことが、就任要請の狙いだ。

   だが、前出のような「1000万部死守」という方針から、白石氏の就任には渡辺氏の了承が必要なのは確実で、社内調整に時間がかかった可能性もある。

   結局、7月20日の会員総会では、白石氏の販売正常化委員長就任が決まっている。一定の妥協点は見いだされた形だが、実際に読売新聞社が販売正常化に積極姿勢を示すかは不透明だ。

   なお、読売新聞社は、一貫して「押し紙」の存在を否定しており、押し紙問題を取り上げた09年6月の週刊新潮の記事で名誉を傷つけられたとして損害賠償を求めて提訴。11年5月の1審判決では読売側が勝訴しており、発行元の新潮社と筆者のフリージャーナリスト・黒薮哲哉氏が、計385万円の支払いを命じられている。今回の「販売正常化」についても、これが即「押し紙」廃止に結びつくのかは定かではない。

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