10電力会社体制見直しを
むしろ世界の潮流は電力自由化の中で、自然エネルギーを含めた各種のエネルギーについて国や地域の実情にあわせて最適な選択が行われている。
再生エネルギー法案は、大震災前に作られたので、原子力発電に傾斜する前提になっており、また電力自由化の発想もない。そのままでは、10電力体制は維持されつつ、買取制度によって電力料金は高くなってしまう。そうなると、日本の企業の中には海外移転をするところもでてくる。それを回避するためには、発送電を分離し、発電部門での新規参入を増やすような10電力体制を見直し電力自由化プログラム条項を入れる必要がある。
発送電を分離するまでの間も、発電会社の新規参入を促すために、送電網の開放が必要だ。しかし、再生エネルギー法案では、電力会社は、「電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれ」があるときは、設備を送電網に接続することを拒絶できることになっている(法案5条1項2号)。これは、表向き、不安定な自然エネルギーの発電設備を接続することによる支障を防ぐ規定だが、電力会社はこれまでこれを隠れ蓑として新規参入などを阻み続けてきた。この条項を撤廃する必要もある。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。