津波の直撃受けた地区を走る 石巻「がれきマラソン」開催目指す

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   震災で4000人を超える死者・行方不明者を出した宮城県石巻市で、市民マラソンを開催しようという計画が動き始めた。その名も「石巻がれきマラソン大会」(仮称)。「がれきの町」と化した石巻の「今」を、多くの人に知ってもらいたいという住民の思いから名付けられた。

   計画の舞台は、石巻市東部の渡波町黄金浜地区。石巻湾に面し、津波の直撃を受けた地域だ。コースはこれから検討するが、渡波中学校の周辺3~10キロほどを予定し、2011年10月10日の開催を目指している。

年々復興する石巻の姿を、みんなで体感したい

   発起人となったのは、東京在住の会社員瀬川享市さん。きっかけは、ボランティア活動で石巻に行ったときに、「石巻市復興を考える市民の会」代表の藤田利彦さんと出会ったことだった。津波で家族を失いながらも、地域の復興を目指し奔走する藤田さんは、あるとき瀬川さんに「地域全体が参加できる、大規模なマラソン大会を石巻で開きたい」という夢を語った。

「『がれきの町』と化した今の石巻の姿を大勢の人に見てもらい、そんな中でもマラソンを開催できる石巻の元気を示したい。そしてそれを毎年開催することで、年々進んでいく石巻の復興を、みんなで体感したい」

   共感した瀬川さんは東京に戻ると、さっそく有志とともに企画を練った。今月15日には再び石巻へ行き、藤田さんら住民からも賛同を得て、地域への説明を始めるなど開催に向け本格的に動き始めた。

   実行委員会には現在東京のボランティアや石巻市民など、20人以上が加わっている。

複雑な心情の住民も

   とはいえ、越えるべきハードルは多い。渡波町では依然300人以上が避難所暮らしを余儀なくされている状況で、放置されたがれきの粉塵などが原因で体調を崩す住民も少なくない。5月に再開した渡波小学校では、かぜや感染症でのべ40人以上の欠席者が出ているといい、衛生状態の悪化が懸念される。行政との交渉も大きな壁だ。

   ネット上では地元住民のものと思われる、

「マラソン…正直ちょっとまだやって欲しくない。それで元気になる人がたくさんいるなら構わずやってくれていいけど」

という、複雑な心情をにじませた書き込みもある。

   瀬川さんは、こう話す。

「賛否両論はあると思いますが、いろんな声を真剣に聞いて、現地のニーズに応えられるような大会にしたいです。ただ走ってサヨナラではなく、被災地支援も含め、地域に根付いた活動として続けていく、その第一歩にできれば。現地の人の光、元気の源になりたい」
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