「学歴なんてどうでもいい」とキヤノン
人材コンサルタントの常見陽平氏は、就活ノウハウサイト「就活の栞」の中のコラムで、「採用ターゲット校以外はセミナーの予約が取れない」「セミナーを抽選制にしてターゲット校の学生しか当選させない」などの学歴差別はよく行われていると指摘する。しかし、今回の件については、「ここまで露骨に可視化されたのはなかなかない」という。
キヤノンの担当者に聞くと、これはあくまで「説明会」であり、「選考会」ではない。定期採用は1か月ほど前にひと通り終わっているが、震災の影響で活動に支障も出た学生も多いため、夏期採用は、東北地方の学生をはじめ、「できるだけ多くの学生に参加していただきたい」という位置づけだ。
そのうえで、就職活動に苦しむ学生からの「出身校のOB・OGに話を聞く機会が欲しい」という要望を取り入れ、今回のように大学ごとの説明会を特別に開くことにした。説明会はその大学のOB・OG社員が参加するもので、枠は応募者とOB・OGが多い大学ごとに設けたという。
広報担当者は、「応募者が多いということは結果的にOBも多くなります。応募者が多いにもかかわらず、OBが少ないから、あるいは捕まらなかったから枠がないという大学はない、と考えてもらって大丈夫です」と話す。つまり、説明会を特別に設けられた大学は事実上、「採用実績上位校」ということだ。
「学歴なんてどうでもいいというのが社の方針。学歴差別を打ち出すつもりもなく、今回のネットの反応は予想外でした。自身の大学名のない学生の方々を中心に誤解を招いてしまったこともあり、もう少し表記に気をつければよかったかもしれません」
こうした結果、大学名のないフリーの枠が比較的早く埋まってしまう問題については、増枠を検討しているという。