「英国の人に見てもらいたい」と父も言うだろう
映画は7月16日から東京・渋谷の「渋谷アップリンク」などで公開されており、8月中にはロンドンでの上映も計画されている。BBCの番組をめぐる騒動を受け、英国でも山口さんの体験を知ってもらうことが目的だ。
プロデューサーの秀孝さんは、
「(原爆の悲惨さを)伝える努力が日本側も足らなかったと思っているので、『山口さんの人生はどうだったのか、被爆体験はどうだったのか』といったことを知っていただきたい」
と、映画を英国で上映することの意義を強調した。
山口さんの長女の山崎年子さんも、
「おそらく父ならば、『自分の気持ちが英国のみなさんに伝わっていなかったと思う。ドキュメンタリーが出来ているので、それを見て欲しい』と言うと思った」
と話す。
BBCで「世界一運の悪い男」として紹介されたことについて、山崎さんは、
「核を持っている国の人からは、そういう風な言われ方はしたくはないというのが正直な気持ち」
BBCからはマーク・トンプソン会長名で「不快な思いをさせて申し訳なかった」などとする文面が長崎市に届いたものの、長崎市が放送を要求しているドキュメンタリーの放送を約束するものではなく、遺族への直接の連絡はないという。
「本当は、英国のバラエティー番組の方には分かっていただきたかったが、この(BBCからの型通りの謝罪の)手紙をいただいて、正直『脈はない』と感じた」
と、今も消えない失望感をにじませた。