サッカー女子ワールドカップで、日本代表「なでしこジャパン」が過去1度も勝てなかった米国代表を決勝で破って初優勝に輝いた。国内だけでなく海外でも、驚きや称賛を交えて大きく報じられている。
東日本大震災や福島第1原子力発電所の事故と暗いムードが続いていた日本に明るいニュースをもたらしたと伝え、「日本の政治家はなでしこを見習え」と試合を観戦していた日本人の声を紹介するメディアもあった。
政治家はなでしこの闘志を見習え
なでしこジャパンに敗れた米国のメディアは、あと一歩で頂点を逃した米代表の落胆ぶりを伝えている。ニューヨークタイムズ(電子版)は試合後に更新した記事の冒頭で、「(1999年に)米国女子がW杯を制してから12年がたった。そして、また次の機会が来るまで4年待たねばならない」とつづった。
一方で、なでしこジャパンに対する評価は高い。同紙は別の記事で、「日本が幸運だというのなら、その運は自力で呼び込んだものだ。決勝前まで対米国戦は0勝22敗3分けだったが、最も大切な試合で勝利をもぎとったのだから」としている。なでしこのタフな戦いぶりや、敗戦を嘆きながらも「日本代表は素晴らしい。心から祝福したい」との米選手の言葉を引用している。
米ウォールストリートジャーナル(電子版)は、震災と津波による壊滅的な被害や福島第1原発の事故に苦しんだ日本の事情と、今回のなでしこの勝利を結び付けて報じた。震災や原発事故の処理に当たるべき国家のリーダーたちの「失政」に日本国内がうんざりする中でのなでしこの快挙は、「スポーツでの勝利以上の価値をもたらした」と伝えた。また同紙は、なでしこを応援していた人たちの声を紹介。その1人は「政治に携わる人たちは、なでしこジャパンの闘志あふれる姿勢を見習うべきだ」として、こう続けた。
「政治家は自分の保身を図ろうとして、いつも頭を下げて謝罪してばかり。なでしこジャパンは戦い続けて、決してあきらめなかった」
記事では、福島第1原発の事故処理にもたつく政府や、支持率が低下の一途をたどる菅政権、電力不足の対応に迫られる東京の夏など「悩める日本」の現状に触れつつ、夜中のスポーツバーでなでしこジャパンの試合を観戦していたサッカーファンが米国戦の勝利で、これからの日本に希望を見いだした様子を紹介している。