日本側はカリフォルニア新幹線計画に共同入札準備
川崎重工やJR東日本、日立製作所などは、米カリフォルニア州の新幹線計画に共同入札を準備している。中国の特許審査は1年以上かかるといわれ、12年初め予定の入札には間に合わない見通しだが、中国側も米国での受注を目指しており、一連の動きには米国での鉄道競争で優位に立ちたいという中国側の思惑がにじむ。川崎重工は米国で車両の特許を出願していないので、万一、中国に特許を握られでもしたら、受注に悪影響も懸念される。日本の関係企業は「どのような技術の特許申請がされたのかはっきりしない」(川崎重工)などと、正式のコメントはしていないが、困惑は隠せない。
もっとも、中国の「自前技術」の主張を否定する「内部告発」も飛び出している。中国鉄道省の元幹部の証言として中国紙が報じたところでは、車両技術は日独からの導入がほとんどだと指摘。新幹線の営業運転の最高時速が、従来計画の時速350キロから300キロに引き下げられたことについても、日独企業の「安全を保証できない」との指摘を受けて300キロに引き下げたという。
その背景として、高速鉄道事業の入札で約20億元(約250億円)の賄賂を受け取った汚職疑惑で2月に失脚した劉志軍・前鉄道相が、技術的裏付けのないまま「世界一」にこだわり350キロを無理に指示したと暴露した。
日中技術協力のシンボルとも評価された新幹線協力だが、今後は技術転用をより厳しく制限するなど、契約段階から、「甘い顔を見せない必要がある」(経産省幹部)といえそうだ。