2011年は例年より早く梅雨明けを迎え、各地で30度を超える真夏日が6月下旬から続いている。とはいえ、まだセミが静かだ。
中には「朝、少し聞いた」「こっちでは鳴きはじめた」という報告もあるものの、セミ時雨を聞くまでには至っていない。ネットでは「セミが静かなのは大地震の予兆?」「放射能の影響では」と心配している人も多い。
梅雨ごろまでの気温がカギ
日本本土で見られるセミは約30種。そのうち「セミの大合唱」として親しまれているのは、「ジジジジジ」と鳴くアブラゼミ、西日本に多い「シャンシャンシャン」と鳴くクマゼミ、そして東日本に多い「ミーンミンミンミン」と鳴くミンミンゼミなどが挙げられる。
セミは土に出てくるまでに6~8年ほど土の中で成長するのだが、九州大の紙谷聡志准教授(昆虫学)によると、特にアブラゼミ・クマゼミには、出てくる年の「春から梅雨にかけて」の気温が影響するのだという。
気象庁発表の11年3月~5月の平均気温データによると、東京では「8.1度、14.5度、18.5度」、大阪では「8.1度、13.8度、19.6度」で、それぞれ3月4月が平年よりも最大1.3度低かった。「アブラゼミでいえば7月上旬から鳴き始めるのですが、今年は3~4月の寒さが足を引っ張ってしまって、出てくるのが遅れているようです」と話す。直前に温度が上がったから、それに合わせて時期が早まるわけではないようだ。